幼稚園や保育園での集団感染が怖い手足口病とは


幼稚園や保育園に通う年頃の子供がかかりやすい感染症のひとつ、「手足口病(てあしくちびょう)」。
患者のほとんどが5歳以下、そして毎年5月頃にちらほら増え始めた患者が7月にピークを迎え、徐々に減少していくという様子はまさに典型的な「子供の夏風邪」だといえます。

「手足口病」は感染してもそれほど重症化することもなく、回復にかかる時間もそれほど長くないため、夏風邪の中でもやや軽い部類として扱われることが多いようです。
まれに重篤な合併症を引き起こし、海外では1シーズンで100人単位の死者を出したケースも存在するこの病気。

日本でも1~3年という短いスパンで大流行をくり返していますから、集団感染のリスクが高い環境で過ごしているお子さんは特に注意が必要です。

手足口病の症状と治療法は?

ウイルスに感染すると3日~5日ほどで手、足、口などに白いポツポツとした発疹が現れます。
ただし、これらの部位に一斉に発疹ができるとも限らず、これ以外の場所に発疹ができないわけでもありません。
特にまだしっかりしゃべることができない幼児や赤ちゃんの場合は、口の粘膜や唇の裏側に発疹ができていないか注意深く観察する必要があります。

また、手足口病では発熱はあまり見られず、出ても38度以下の微熱程度。発疹も含めて一週間足らずで回復することがほとんどです。
今のところ特効薬は存在しませんが、手足の発疹や口内の炎症、場合によっては解熱剤を処方されます。

あまり熱が出ないため、子供の機嫌が良いと病院に行くのをためらってしまうかもしれませんが、万が一合併症を起こしたときスムーズな処置を受けるためにも一度受診しておくと安心ですね。

原因ウイルスの種類によっては重症化も!

このように一般的には軽症で済むことが多い手足口病ですが、ウイルスの種類が違えば何度でも感染する可能性があるという点は少し厄介。
また、ウイルスの種類によって症状も異なりますから、以前はほとんど見られなかった腹部や臀部への発疹、高熱が出るケースも増えてきています。

特に「エンテロウイルス71」が原因の場合、髄膜炎や小脳失調症などの合併症を起こす確率が高くなっています。
日本でも合併症による死亡例が報告されていますので、「高熱が2日以上続く」「頭痛、吐き気を訴える」などの症状がみられたら早めに医療機関を受診しましょう。

ワクチンが存在しない手足口病の予防法は?

手足口病の最大の予防策は、感染者が出た環境で衛生管理を徹底すること。
そうはいってもまだ小さな子供に排せつ後の手洗いや汚物の取り扱いを徹底させるのは難しく、集団生活の場ではその一人一人にまで大人の目も行き届きません。

そのため幼稚園や保育園では、潜伏期間中に登園している子供の唾液や回復後の子供の排せつ物などを通じて手足口病が爆発的に広がっていきます。

そうなると次に重要になってくるのが家庭での対応ですが、石鹸での手洗いや一般的なアルコール消毒だけでは手足口病の予防効果はあまり期待できません。
石鹸での手洗い後は「酸性アルコール」または「ノンエンベロープウィルス」などの表記がある消毒薬で感染対策を行いましょう。

おわりに

手足口病やヘルパンギーナなど「子供の夏風邪」といわれる感染症に共通しているのは、冬場にかかる一般的な風邪のように予防ワクチンも特効薬もないということ。
症状を和らげるための解熱剤などを処方されることはあっても、基本的には自然回復を待つしかありません。

また、手足口病に限らずありとあらゆるウイルスと完全に接触を断つのは難しいものですが、もし感染しても体が健康なら軽症ですむケースがほとんどです。
家庭では日頃から手洗いやマスクの着用などの予防策とあわせて、食生活や適度な運動で病気に負けない体作りに取り組んでおきましょう。

参考リンク

日本医師会:手足口病Q&A
東京都感染症情報センター » 手足口病
手足口病 – 古畑病院